2013年5月24日金曜日

希少疾病医薬品の臨床試験

こっちで出来た知り合いの一人に、台湾人Pさんがいる。
ちっちの住むここAlbany(CA)は、留学や仕事で来ているアジア人が多い中、Pさん一家は今年で4歳になる息子さんY君の治療でここに来ている。
治療と言ってもただの治療ではなく、治験に参加するために来ているのである。

Y君は先天性疾患のムコ多糖症IV-A型の軽症型である。
昨年3月から来て、BioMarin社のムコ多糖症IV-A型の治療薬の治験に参加し、治験が行われているChildren's Hospital & Research Center Oaklandへ毎週通っている
今年の6月付近で一区切りつくそうであり、その後は一度台湾へ戻り、半年置きに検査のため(10間程度の滞在)アメリカへ来なければならないそうだ。

その話を留学男としてた時、留学男が「(わざわざ台湾から来てるのに)プラセボに当たった場合はどうするんだろ…???」と聞いてきた。
確かにそうだけど、それはちっちにとっても疑問であり、その辺りをどのように考えて治験に参加したのか、後日Pさんに訊いてみた。
答えを聞いて驚いたのは、その治験では5歳未満の子供は被験薬のみでプラセボは使われない、ことであった。
通常、臨床試験に使われる対照にはプラセボ、用量、実薬、無治療等があるが、アメリカではプラセボを対照とするのが原則だそうである。
ムコ多糖症にはI型~IX型の型があり、現在一部の型の治療薬しかない疾患であるので、Y君が参加している治験では、恐らく実薬対照試験ではなくプラセボ対照試験で行われるのだろうと思っていたが、年齢制限によりプラセボが使われず被験薬を投与される事がわかっていれば、参加する甲斐があるだろう。

しかし、プラセボを用いないという年齢制限があるんだ~?と不思議だったので、出張で開発の人と会う機会があった留学男に訊いてもらうことにした。
すると、アメリカと日本の臨床試験は基本的に同じであるが、希少疾病での臨床試験は年齢に関係なく被験薬を用いないといけない、という点が日本と違うそうである。
また、医師が偉そうにしているのと、そうでないの違いもあるようだよ(笑)
ってことは、アメリカではムコ多糖症IV-A型はそんなに希少ではない…のかな!?
あと、年齢制限ありきではなく、元々希少疾病なだけに患者数も少なく、通常の臨床試験方法が採れない、というのがあるだろうね。

BioMarin社のプレスリリースによると、この被験薬はVimizim (BMN-110、 elosulfase alfa)として今年の3月にFDAに、4月にEMAに承認申請された模様。
やはり日本は遅いのう…
以下はBioMarin社のプレスリリースのリンクだよ。
確かに、2012年11月のプレスリリースを見ていると、5歳以上の被験者ではプラセボを用いて試験を実施しているね。

2012年11月:http://investors.bmrn.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=718462
2013年3月:http://investors.bmrn.com/releasedetail.cfm?releaseid=752598
2013年4月:http://investors.bmrn.com/releasedetail.cfm?releaseid=759055

先日Pさんに会って聞いてみたところ、Y君の体調は良くなっているそうで、治療の感触はまずまずな感じである。
早く上市されて、この疾患の患者のQOLが改善されるといいな

2013-05-24 01:38

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